歌仙「くらげの巻」完成

 昨年の六月にはじめた歌仙です。メールを使い十四ヶ月かけて巻きあげました。

歌仙 くらげの巻
 座:青空 蕪南 蕪素            2008/6/4〜2009/8/26

01 発句     青空 夏  万華鏡とび出しさふな海月かな
02 脇句     蕪素 夏  切り子ガラスに白玉を盛る
03 第三     蕪南 雑  この先に何があるかを知りたくて
04 四      青空 雑  普段着のまま花屋へ出向く
05 月      蕪素 秋  メトロ駅出でて気づくよ今日の月
06 折端     蕪南 秋  空腹しのぎ林檎をかじる
07 折立     青空 秋  しゃがみ込み手前より掘るさつまいも
08 二      蕪素 雑  駐在さんの赤い電灯
09 三      蕪南 雑  坦々と金を数える長い髪
10 四      青空 雑  膝枕してそっと触れる手
11 五      蕪素 雑  エアーライン夢はバンコク涅槃像
12 六      蕪南 雑  角のロックとオイルサーディン
13 月      青空 冬  月冴ゆる追ひ越して行く車音
14 八      蕪素 冬  子規に鴎外鴨が鳴く池
15 九      蕪南 雑  笑い顔橋の下に過ぎし日々
16 十      蕪素 雑  ジンタがなれば玉乗りをする
17 花      青空 春  風呂敷に桜のぜりい木の器
18 折端     蕪南 春  剪定の音親父の背中
19 折立     蕪素 春  遠霞富士を隠して諏訪の山
20 二      青空 雑  泣く日笑ふ日ならんで歩く
21 三      蕪南 雑  木下や堤見ながら握り飯
22 四      青空 雑  雨の記念日甘ひ唇
23 五      蕪素 夏  うたた寝の脇におかるる蚊遣りかな
24 六      蕪南 夏  耳にかすかにくちなしの花
25 七      青空 雑  豆腐売法被に草履同じ場所
26 八      蕪素 雑  船が波うつ運河の岸根
27 月      蕪南 秋  月探しゃビアガーデンとコウモリと
28 十      青空 秋  遺跡の森に塩辛蜻蛉
29 十一     蕪南 秋  夢の中誰が作った菊人形
30 折端     蕪素 雑  髭の老人肉屋の包み
31 折立     青空 雑  赤米にラジウム玉子朝の膳
32 二      蕪素 雑  捨て子のメダカビオトープへゆく
33 三      蕪南 雑  覗き見るまるで富くじ石の裏
34 四      青空 雑  銀河橋過ぎ黒板の文字
35 花      蕪素 春  里は花六部は山へ行きにけり
36 挙句     蕪南 春   彼岸の様も人様々か