どぢやう鍋

 風邪で寝込んでしまった。熱のなかでものを考ふるに,法則のやうなものあり,その法則の函数のやふなものを思ひ浮かべてしまうと,この式が解けるまで熱にうなされることになる。
 キーワードを考へないようするが,田端三丁目とか河童と云ふ言葉が一緒に流れてゐる。喰いもののことを考へる。泥鰌鍋のことを考えた。


  泥鰌鍋褒貶いまも定まらず  藤田湘子   褒貶(ほうへん)

 泥鰌鍋の例句として有名ですが,なんでとり上げられているのかがわかりません。
 要するに,うまき泥鰌を知らないと云ふことね。


  盛りあげて薬味の青し泥鰌鍋 角川照子

 滅茶旨な句です。東京でどぢやう鍋を食べた事があればこの句の凄さがわかるよね。