これでしばらく生きていける

鈍痴師匠が亡くなり,ぼっとしていた。
庄内の知人から,今年も鶴岡の由良漁港で揚がった鱈をいただく。藤沢周平の作品に出てくる食べ物はほぼ食べたけれど,「どんがら汁」だけは食べたことがないと言ったのを覚えていてくれたのがはじまりで,毎年,藤沢周平も好んだ由良漁港のものを送ってくれる。

どんがら汁
寒鱈の頭から内臓までぶつ切りにして,味噌汁仕立てにしたのが寒鱈汁のこと。
由良漁港
山形県鶴岡市の漁港。由良漁港の隣にノーベル賞で名が知られた鶴岡市立加茂水族館のある加茂漁港がある。

 庄内の由良の浜より鱈半身

実際は,鱈の雄と雌をいただく。いただいた鱈は小生が料理をする。大鍋に湯を沸かし,沸騰した湯に脂ワタをとかし入れて,大根を煮る。それからアラ(頭,エラ,中おち,胃袋?腸?など)を入れて煮込む。味噌で味付けをする。小生は,周平さんが小学校の教師をしていたことのある湯田中温泉の名物・孟宗汁をまねて酒粕を少し入れる。身を入れ,最後に白子を入れできあがり。食べるときに一緒に送っていただいた岩海苔を入れる。
雌の鱈子は醤油漬けにし,身の幾切れかは残った粕と味噌をビールでといて粕漬けにした。一週間ほどボッーとしていたけれど,半時ほど台所にたち,孫たちと「どんがら汁」を食べた。どこかで聞いた言葉だが「これでしばらく生きていける」という気持ちになってきた。