りんごの花は咲いたけど

昨日,雪の山形から,昼に上野に着いた。北千住へ直行し駅前裏のタイ料理屋でカオマンガイを食べ家へ帰る。「遊雲」事務局の一変さんから,「遊雲」の記念誌をつくるので,今まで投句したなかから,100句自選せよとのことで,おじさんの600句がプリントされて送られてきていた。どれをどう選ぼうにも月並み句ばかり,自分の下手さ加減に呆れる。スラポンの「りんごの花は咲いたけど」を聞きながら,句選をする。

 りんごの花は咲いたけど

スラポン・ソムバッチャルンの「りんごの花は咲いたけど」
ルークトゥン(タイの演歌)の王様スラポン・ソムバッチャルンの歌。彼は1967年にステージで射殺されてしまったが,今も聞く人がいるようでCDは簡単に入手できる。おじさんは,バンコクのマーブンクローンのショップで買ったスラポンのCDに,たまたま,幻の名曲「りんごの花は咲いたけど」が入っていたのである。この元歌は日本の歌で,コロムビアローズが歌っていたそうである。若い人は,コロムビアローズそのものを知らないかな。おじさんの持っているものよりも,ネットで見つけた「りんごの花は咲いたけど」の方が迫力があるので,こちらを紹介する。

*マーブンクローン  サイアムスクエアにある巨大ショッピングセンター 最寄り駅・BTSサナームキラーヘンチャート駅


自選100句より

冬帽子盛岡人の面輪かな
あまぐもり色なき川に花筏
青北風の岬へつづく馬の糞
最果てはこのもかのもに冬支度
春駒に町の一角浮かれをり
遠霞富士を隠して諏訪の山
湯浴みする負ひの刺青大西日
五月闇田に灯をおとす路線バス
ゆく秋や沖つ白波宙返り
隅田川冬陽さしけり船の跡
涅槃像日陰をつくる尻あたり
海鼠切る俎板海になりにけり
地吹雪や酒田駅発十八時
庄内の由良の浜より鱈半身
朝市の雨に汐吹く浅蜊かな
日を吸った石段熱し嫁の足
秋祭り木村伊兵衛のままにあり
鯊日和竿は川鵜にとられけり
蜆貝町傘傾げれば雪女
雪女郎八百屋の奥を覗きけり
別れ雪砂越の駅から乗る少女
秋扇妹は今でも左利き
歳の市こんにゃく玉を落としけり
芭蕉の葉托鉢の僧通りけり
新蕎麦や藪下抜けて団子坂
周平の故郷近し寒鴉
群離れ二羽の白鳥月の山